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ビシクロペンタンはベンゼン環のワイルドカード?

Stepan AF, Subramanyam C, Efremov IV, et al. Application of the Bicyclo[1.1.1]pentane Motif as a Nonclassical Phenyl Ring Bioisostere in the Design of a Potent and Orally Active γ-Secretase Inhibitor. Journal of medicinal chemistry. 2012;3(Figure 1).
Available at: http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22420884

ファイザー社ではノッチに対して選択性あるγセクレターゼ阻害薬として化合物2を有しているが、活性は16.9 nMとまだ弱く、さらなる活性の向上を指向していた。一方でBMS社はγセクレターゼ阻害薬の臨床開発化合物として同系統のBMS-708163(化合物1)を有していた。ここでは、このBMS社のフルオロフェニル基を等価体としてビシクロペンタン誘導体に変換する事とした。この変換は、下記リンク「平面性からの脱却」の戦略にもある通り、芳香環を脱却する事によって、溶解度、膜透過性や脂溶性といったパラメーターを改善する効果が発揮される。

http://medicinalchemistry.blog120.fc2.com/blog-entry-5.html


ベンゼンとビシクロペンタンは、どちらも2つの置換基は180°に配置され、その距離は、ベンゼンの内径が2.8Å、外径が5.7Åであるのに対して、ビシクロベンタンの内径は1.7Å、外径は4.7Åと構造的相同性が高い(Fig. 1)。実際に合成した化合物1と3の結晶構造解析から相同性が確認された(Fig. 2)。各種パラメーターを比較すると(Table 1)、ビシクロペンタン3の活性は若干向上し、ノッチ選択性は若干低下、代謝安定性は改善し、速度論的な溶解度は0.6μMから216μMに300倍以上も向上した。熱力学的な溶解度も1.7μMから19.7μMと10倍以上の飛躍的改善。これはベンゼン環に比べてビシクロペンタンで3次元性が向上し、分子間パイスタックが解消された為と推察される。溶解度のみならず膜透過性も3倍改善し、MDRの基質にもなっていない。さらに代謝安定性にも優れていた。これは、ELogD4.7から1オーダーの3.8まで脂溶性が低下した事を反映した結果と考えられる。脂溶性の低下は、飽和結合数の増大に起因すると考えられる(芳香環枚数N及びFsp3値より http://medicinalchemistry.blog120.fc2.com/blog-entry-292.html )。この結果は、脂溶性効率がLipE4.76から6.55と2桁向上した事、CNS-MPOが2.49から2.97と改善した事に反映している。さらに、化合物3はCYP阻害の懸念もなく、CEREPオフターゲットパネルやその他の毒性アッセイでも問題が認められなかった。活性は若干低下するが、末端のイソオキサジアゾールをシアノ基に変換しても同等の物性パラメーターは保持する(Table 2)。ビシクロペンタン以外のスペーサーを検討したが(Table 3)、全て活性は8乗オーダーまで低下し、活性・物性両面でバランスをとれなかった。化合物1と3の薬物動態を比較したところ、デザインした化合物3はクリアランスは低く、ある程度の分布容積を持ち、経口吸収性は100%、脳内移行性は1が0.34に対して0.61と向上していた(Table 4)。このビトロ及びPKの良好なプロファイルがPDに反映しているか検証した。CSF中ではAβのライジングが起こりその要因は不明だが、脳内のAβ40, 42の低下を確認した。
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