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重水素化が注目を集めている

Big interest in heavy drugs
http://www.nature.com/news/2009/090318/pdf/458269a.pdf

重水素化が注目を集めている。たとえばネイチャーでとりあげられたニュース「Big Interest in heavy drugs」では、既存薬の水素を重水素に変換した化合物は、元の化合物よりも薬効や安全性に優れていることがあって、それを開発している事が紹介されている。たとえば、パロキセチンの場合、CYP2D9の不活性化を抑制することができ、安全性にも優れている、とされている。ちょとした逆転の発想、常識の裏側の盲点をついたようなアプローチ。ただ、開発側が嫌がる可能性もあり、またいつでも通用する手法ではないのでアプローチの一つとして覚えておく程度にしておいた方が良い。注意したいのは、主に特許を出し抜く手段の一つに利用される可能性があり、実際にコンサート社など既存薬もしくは現在開発化合物を片っ端から重水素化している会社もあるくらいなので、物質特許の請求項には牽制の意味も込めて入れておく事がお薦めである。

今回、これに関連した報告を一つ紹介。C型肝炎治療薬のHCV-NS3-4Aプロテアーゼ阻害薬telaprevir(VX-750)が75%の患者が治癒するという、患者さんにとっては非常に嬉しいニュースが報告された。

http://www.medicalmedia.jp/2010/05/26/3872

これに関して、開発のベルテックス社は、そのバックアップに重水素化体を利用している。

Maltais F, Jung YC, Chen M, et al. In vitro and in vivo isotope effects with hepatitis C protease inhibitors: enhanced plasma exposure of deuterated telaprevir versus telaprevir in rats. Journal of medicinal chemistry. 2009;52(24):7993-8001.
Available at: http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19894743.

テラプレビルVX-950はその主代謝物が酵素活性中心と相互作用するαケトアミドのプロトンが溶媒と置き換わって立体が反転したジアステレオマーVRT-394であった。その代謝物は活性は30倍弱い。活性を減弱させる事なくVX-950のエピメリ化を防ぐ方法として、D化を行ったD-テラプレビルは活性を保持し、安定性にも優れ、経口吸収性はVX-950に比べてAUCベースで13%も改善した。これもD化が機能した事例の一つである。

仮に生体内でのエピメリ化が問題となり、たとえばそれが副作用の原因(たとえばサリドマイドのディストマーは催奇形性の要因)ともなれば、最小限の置換基変換で元のプロファイルを維持もしくは改善しつつ問題解決できる可能性があるので重水素化法はプロファイル改善の打ち手の一つ、そして虚をついたパテントバスターとしても使える可能性がある。
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テーマ : 科学・医療・心理
ジャンル : 学問・文化・芸術

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趣味で読んだ創薬化学論文を綴った日記。

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