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指標作りに溺れるな

Hill AP, Young RJ. Getting physical in drug discovery: a contemporary perspective on solubility and hydrophobicity. Drug Discovery Today. 2010.
Available at: http://linkinghub.elsevier.com/retrieve/pii/S1359644610001923.

溶解度予測パラメーターSFIの提案。脂溶性のlogDの実測値は計算値と乖離があり、その主たる理由は溶解度の低い化合物が正確に測定できない為である。一方で、脂溶性と溶解度には明確な相関があり、芳香環枚数と溶解度にも同様に相関がある。芳香環枚数とlogDで化合物を分類し、溶解度のパイチャートで分布を見れば、芳香環枚数とlogDの総和が5以下であれば、化合物溶解度は良い。よって、溶解度予測値として

Solubility Forecast Index (SFI) = clog D + number of Ar

と定義し、SFI < 5を指標にすれば高溶解度が得られる、としている。
芳香環枚数はインドールなどの縮環であれば2枚とカウントする。

それにしても、最近この手の新たなガイドラインが次々に報告されて溢れかえっているが、こういうのを誰が使っているのだろうか?化合物を表記するのに1000以上のパラメーターがあり、これらを組み合わせれば何万という指標が提案でき、より精度が高い(ように思われる)ものが出来るのかもしれないが、実際のところ、その精度はほとんど「重箱の隅をつつく」ような作業に終始しているようにも感じる。リピンスキールールが提唱された事の最大の意義は、ドラッガビリティという概念を打ち出した事で、物性の重要性に研究者の意識が向いた事である。アンドリュー・ホプキンスが提唱したリガンドエフィシエンシーの最大の意義は、活性を支配する熱力学的法則と効率性(古くはピーター・アンドリューのアンカー理論)に研究者の眼を向けさせた点である。指標はたとえ雑駁で荒削りでも、使いやすく研究者の誰もが知っている世界共通言語である事が大切である。精度が高くても誰も使わないし誰も知らないローカルルールを作っても共通言語にはなりえない。どんなに正確な指標を作っても精度には限界がかる。そして、残念な事にそれを判断するヒトの合理性にもまた限界がある。その指標が、研究方針にまで影響するものなのか、研究者のマインドセットを変えさせるものなのか、参考程度にするものなのか、、、最悪なのは、指標ばかりが増えてそれを作ったヒトの自己満足で誰も使わない状況になる事である。薬作りの本意を忘れて指標作りに溺れてはならない、ルール依存症はむしろ危険である。
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テーマ : 科学・医療・心理
ジャンル : 学問・文化・芸術

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趣味で読んだ創薬化学論文を綴った日記。

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