スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

ジェームス・ブラッグのドラッグデザイン法、オキシトシン研究に継承

Bellenie BR, Barton NP, Emmons AJ, Heer JP, Salvagno C. Discovery and optimization of highly ligand-efficient oxytocin receptor antagonists using structure-based drug design. Bioorganic & medicinal chemistry letters. 2009;19(3):990–4.
Available at: http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19095447

バソプレシンとオキシトシンは、その残基が微妙に異なるだけの酷似したペプチドで、実際にオキシトシンは両方の受容体に高い親和性を有する。ペプチドのアトシバンはバソプレシンに対する選択性の低い注射剤として利用されており、次世代オキシトシン受容体拮抗薬には、選択的経口薬が求められる。GSKではβターンミミックの母核にジケトピペラジンを利用したフォーカス・ライブラリーとその最適化によってGSK221149を見いだした。さらなる母核の変換には、インシリコの強力なツールであるモレキュラー・フィールドポイント法を利用した。これは、かつてエンピリアル、グラクソで内因性リガンドからの論理的薬物設計によってラニチジン、プロプラノロールを見いだしノーベル賞を受賞したジェームス・ブラックが、ペプチド内因性リガンドのコレシストキニンからヒットを使わずに低分子化を果たした際の母核の変換に使用したスキャッホールドホッピング法である ( http://medicinalchemistry.blog120.fc2.com/blog-entry-99.html )。GSK221149からフィールドポイントによってバーチャルスクリーニングを展開し、見いだされたビアリールアミド化合物6は、分子量335でリガンド効率が0.4の優れた効率性を有していた。一見するとこの化合物は、ファイザー社のトリアゾール化合物4から見いだしたように見えるが、フィールドポイント法のメリットは、単純な原子の重ね合わせからではなく、受容体と相互作用する場としてのフィールドを利用する事でダイナミックな変換ができる点にあり、飽くまでジケトピペリジン系化合物をベースにしたものである。この事は以下のSARが元のジケトピペリジンGSK221149とよく相関している事から理解できる。すなわち、GSK221149のインダン部分がビフェニルと重なっており、インダンの構造からビフェニルの捻れが重要と考えて、オルト位にメチル基を導入したところ、活性は飛躍的に向上した。化合物6のテトラヒドロフラン部分はGSK221149のモルホリンアミドのカルボニルに相当するアクセプターの役割を果たしていると考えられ、この酸素原子をアミン性置換基に置き換えると活性は完全に消失した事でも確かめられた。さらに興味深い事には、シクロプロピル部分をベンジルにするとバソプレシンの活性が向上し、オキシトシンの活性は減弱した。この事実は、シクロプロピル部分がジケトピペリジンタイプのイソブチル側鎖に相当する事を意味し、さらにこの部分がオキシトシンのイソロイシン部分であり、バソプレシンではフェニルアラニン部分に相当すると考えると、見事にSARがケモタイプを横断的に適合する。ここで見いだされた化合物12eは、9乗オーダーの強力な活性を有し、バソプレシンに対して100倍以上の選択性を有していた。さらに、低分子でかつ低極性表面積で、そのリガンドエフィシエンシーは0.48とバーチャルから見いだされたリード化合物6よりもリガンド効率が向上しているのは驚くべき点である。
スポンサーサイト

テーマ : 科学・医療・心理
ジャンル : 学問・文化・芸術

コメント

Secret

プロフィール

Janus

Author:Janus
趣味で読んだ創薬化学論文を綴った日記。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。