スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

公知情報からでも作業仮説次第で新規性を発揮

Xue C-B, Wang A, Meloni D, et al. Discovery of INCB3344, a potent, selective and orally bioavailable antagonist of human and murine CCR2. Bioorganic & medicinal chemistry letters. 2010;20(24):7473–8.
Available at: http://linkinghub.elsevier.com/retrieve/pii/S0960894X1001471X

インサイト社のCCR2拮抗薬のドラッグデザインは他社リガンドから、自らの作業仮説に基づくパテントバスターである。インサイトが研究開始した当初は、CCR2拮抗薬はFig. 1の3ケモタイプ、すなわち帝人の1、ロッシュの2、GSKの3しかなかった。たとえば、ロッシュの化合物2が示しているように、塩基性アミンはCCR系統GPCRではどれも保存している7番目の膜貫通ドメインの酸性残基とソルトブリッジを形成していると考えられ、活性には必須である。一方で、塩基性アミンから芳香環までのリンカーの炭素数は、化合物1の場合は炭素1原子であるのに対して、化合物2や化合物3は炭素3原子である。そこで、1炭素のリンカーでつながれた化合物1をリンカー炭素3となる飽和環で新規ケモタイプをデザインした(Fig. 2)。またこのアプローチによりアミンから芳香環の距離が離れる事で塩基性が高まり活性向上が期待できると考えた。ただし、最初からピロリジンにヒドロキシル基を入れた化合物を合成した理由については未記載。リンカーとしてシクロペンチル、ヘキシルを変換した結果、cis体7a, 9aで活性は保持した(Table 1)。特に9aで活性は9乗に達したので、次にピロリジンのヒドロキシル基をアルキル化、エチル体15で10乗オーダーの活性で種差もないが、hERG阻害が強い(Table 2)。シクロヘキシルリンカーに3級アルコールを導入すると(15)、hERG阻害も劇的に低減、タンパク結合率も低下した(Table 3)。この化合物では種差が大きいが、末端フェニル基にメチレンジオキシ基を導入(21)する事で解決した。PKに優れており、リュウマチ、多発性硬化症治療薬のツール化合物としてINCB3344に選定した。たとえ、公知情報であっても、1)どのリガンドに着目するか、2)どのような作業仮説をたてるか、次第でオリジナルの母核を創出できる、その実例の一つと言える。
スポンサーサイト

テーマ : 科学・医療・心理
ジャンル : 学問・文化・芸術

コメント

Secret

プロフィール

Janus

Author:Janus
趣味で読んだ創薬化学論文を綴った日記。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。