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特許を打ち抜け!?3:SGLT-2阻害薬

Robinson RP, Mascitti V, Boustany-Kari CM, et al. C-Aryl Glycoside Inhibitors of SGLT2: Exploration of Sugar Modifications Including C-5 Spirocyclization. Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters. 2010.
Available at: http://linkinghub.elsevier.com/retrieve/pii/S0960894X10000879.

(WO/2010/023594) DIOXA-BICYCLO[3.2.1.]OCTANE-2,3,4-TRIOL DERIVATIVES
http://www.wipo.int/pctdb/images4/PCT-PAGES/2010/092010/10023594/10023594.pdf


こちらはファイザーのSGLT-2阻害薬。SGLT-2の多くはグリコシド1位のアリール基置換基変換で有望な化合物を見いだそうとするが、ファイザーは合成難易度は高いが糖部分の変換によって新規性とアドバンテージを見いだす事に挑戦している。合成面では、特許情報を元にグルコース3位と4位を保護して2位を変換、もしくは2位と3位を保護して4位を変換、5位と6位をアセタール保護した後に2位をベンジル保護して3位を変換。スピロアセタール16はラクトンを経由し、分子内オレフィンメタセシス反応を鍵反応に閉環して合成している。スピロプロパンはシモンズスミスで渡環。オキセタン、スピロアゼチジンやジオキソチエタンの合成法は別途文献報告されるとの事。それにしても、糖質合成独自の合成ナレッジがあるにせよ、そのステップはなかなか手が込んでいて大変そうに思える。SARはグルコース1位から順番に置換基導入を検討して5位で抜けられる事を確認、ここを置換基変換、スピロアセタールは活性が弱いが、プロパンで活性は保持され、スルホンやオキセタン、アゼチジンで活性が減弱傾向。アリール上の置換基Zがエチル基の化合物17は経口吸収性が低いのに薬効はダパグリフォチンと同等に強力。その原因は代謝物ケトン体25が活性代謝物として存在する事を確認。これを回避する為に、メトキシ基にした22は経口吸収性は劇的に改善した。にも関わらず、薬効はダパグリフォチンに及ばず。その原因を究明したところ、血中半減期がかなり短く、糖質部分がグルクロン酸包合を受けてしまう、という問題が為と判明した。

時に創薬化学では、苦労の合成も運悪く報われなかったケースはよくある。実際のところ、化合物の良し悪しは活性を見るまで判断できないので、リスクを伴う。とはいえ、工夫された合成ノウハウはサイエンスの叡智として世界の研究者に生き続けるに違いない。

ちなみに、ファイザーは特許のアセタールで渡環したグリコシドさらに難解な合成骨格で非常に優れたプロファイルの化合物を見いだしている。
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